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特許訴訟事例

アイコン特許と「一太郎」,「花子」

2017.05.31

1.東京地方裁判所では  

原告:松下電器産業株式会社
被告:株式会社ジャストシステム 民事訴訟事件番号
「平成16年(ワ)第16732号特許権侵害差止請求事件(東京地方裁判所)」

■この事件は、原告が松下電器産業、被告がジャストシステムの特許権侵害差止請求事件です。
ディスプレイに表示されるアイコンに関する発明のアイコン特許を持つ松下電器がジャストシステムのソフトである一太郎、花子をインストールしたパソコンを間接侵害として東京地方裁判所に訴えました。

■ジャストシステムの製品を簡単に説明いたします。それは、ヘルプのボタンをマウスでクリックすると、それまでただの矢印だったカーソルがクエスチョンマークのついた矢印に変わります。
このクエスチョンマークのついた矢印をドラッグして印刷ボタンにもっていき、そこでリリースすると印刷の機能説明が表示されるという内容です。

■東京地裁は、下記の主文に示すとおり、松下電器の主張を認め、ジャストシステムの製品の製造、販売の差止と製品の廃棄を命ずる判決を言い渡しました。
ジャストシステムは、争点として「一太郎や花子において表示されるヘルプボタンや印刷ボタンは、ドラッグ不能かつデスクトップ上に配置不能であるから、アイコン特許にいうアイコンに相当しない。」さらに、「アイコン特許は、仮想キーボード等の先行技術から容易に考えられるから無効である。」と主張しました。

しかし、裁判所は、「アイコン特許のアイコンをドラッグ可能かつデスクトップ上に配置可能なものに限定する根拠はなく、ヘルプボタンや印刷ボタンがアイコン特許にいうアイコンに含まれる。」とし、「仮想キーボードのキーとアイコンは別の概念であり、アイコン特許を無効とする根拠とはなり得ない。」として、「一太郎や花子をインストールしたパソコンやその使用は、松下のアイコン特許を侵害する。」と認定しました。

この判決に対し、ジャストシステムは、東京高等裁判所に控訴を提起しました。

平成16年2月1日における東京地裁の判決主文は以下のとおりです。
1.被告は、別紙イ号物件目録及びロ号物件目録記載の各製品を製造し、譲渡等を行い、譲渡等の申出をしてはならない。
2.被告は、前項記載の製品を廃棄せよ。
3.訴訟費用は、被告の負担とする。

 

2.東京高等裁判所では

控訴人:株式会社ジャストシステム
被控訴人:松下電器産業株式会社
民事訴訟事件番号
「平成17年(ネ)第10040号特許権侵害差止請求控訴事件(東京高等裁判所)」
 
■控訴審の審理過程でジャストシステムは、アイコン特許の出願前に刊行された英語の先行技術文献をあらたに東京高裁に提出しました。
ジャストシステムは、「アイコン特許の出願前に既にその内容がそれら文献に開示されているから、アイコン特許は新規性がなく無効である。

また、アイコン特許はそれら文献に基づいてその出願時に容易に発明することができたから、進歩性がなく、無効である。」と主張しました。

これに対して、松下電器は、「ジャストシステムのそれら新証拠に基づく主張立証は、時機に後れた攻撃防御であるから、却下されるべきである。」と主張しました。

 
■控訴審では、裁判所があらたに提出された証拠を採用し、「アイコン特許はそれら証拠に基づいて容易に発明することができたものであるから、進歩性がなく無効にされるべきである。

よって、アイコン特許に基づく権利行使はできない。」と判示しました。

また、時機に後れた攻撃防御について裁判所は、「一審の判決が約4ヶ月あまりで短期に出たこと、証拠が古い英文文献であることから調査に手間がかかることなどを考慮し、ジャストシステムの主張立証は時機に後れたものとはいえない。」として松下電器の主張を退けました。

その後、松下電器が上告をしなかったため、ジャストシステムの勝訴が確定しました。

 

■それら一連の裁判で注目するところは、ソフトウェアをインストールしたパソコンに、そのソフトウェアによる間接侵害が成立するとした点です。
このような間接侵害に基づいて訴えを提起することができるということです。

コンピュータ関連技術に対して認められる特許の裾野や保護の範囲が次第に広がってきたように思います。

ただし、裁判所における特許要件の判断は厳格であり、無効になる蓋然性が高いと判断させる確率も益々高くなってきていると感じます。

したがって、裁判所の判断に拘束される特許庁の特許要件判断も年々厳しくなってきています。

平成17年9月30日における東京高裁の判決主文は以下のとおりです。
1.原判決を取り消す。
2.被控訴人の請求をいずれも棄却する。
3.訴訟費用は、第1,2審とも被控訴人の負担とする。